美容あいち「青年部 30代40代美容室経営者のための経営勉強会」レビュー

◉SESSION1:「人」は会社にとって最大の資源

ハード(建物)、ソフト(メニュー)も大事ですが、人という資源をいかに活かすかで成果は変わります。

そのための「人が働きがいを感じる環境」「上司としてのコミュニケーション力」「信頼され叱ることも出来る先輩になるには?」などの条件を、経営者、スタイリスト、そしてサロンカウンセラーの立場から解説しました。

今の世代は「与えられる教育」「待ちの教育」を受けてきています。だからこそ「結果」ではなく「過程」を観察して、アドバイスを含めながら誉めてあげる「寄り添う教育」が大切だと思います。

人という潜在能力の高い資源を活かすことが、必ずサロン経営の成功につながっていくことを具体的な実践内容を元に講義しました。

 

◉SESSION2: 人がやめないサロン、スタッフが育つサロンとは?

人がやめないサロンには特徴があります。それは、前向きなエネルギーに溢れ、元気、活気があるサロンです。

“気”は人に伝わります。また、充足感、成長している実感も必要です。そして「相手に矢印ではなく、自分に矢印を向けて考えるサロン」「理念を分かりやすい言葉で伝える文化」「想いを明確にしっかり伝えているサロン」など、成長するサロンにはいくつかの条件があると思います。

スタッフが育つサロンとは、
・素直でいることの重要性をスタッフに伝える
・どんなことでも吸収するように促す
・オーナー自身が人は環境で育つことを知っている
などのケースが多くあります。

また「目標に対してスモールステップで進める」「ゴールまで細分化して、小さな成功体験を積ませる」などの目標設定や負荷のかけ方も大切になってくると思います。

これらのことを踏まえて具体的な手法をご紹介し、いくつかの項目について「お互いのサロンではどうか?」をディスカッションする機会となりました。

 

◉SESSION3: 人を育てる方法、そして教育のゴールへ

人を育てるためには「足りないところを指摘する」「今できているところを見つめて共に喜ぶ」など、いくつかのポイントがありますが、カウンセリング技法を使いながらスタッフと共感し、一緒にゴールへ導いていくという手法もあります。

スタッフ一人一人に時間をしっかりとり、カウンセリングをして目標や不安・不満なども傾聴し、少しずつ一緒に答えを出していくのが「理想の経営者、理想の上司」だと思います。

また、サロンカウンセラーとして「心理学も応用しながらのカウンセリング」をすることも有効な方法です。企業には企業カウンセラーがいるように、サロンにはサロンカウンセラーが必要になる時があります。

「サロンカウンセラーとは?」というお話を交えながら「教育のゴール」についてもご講義いただき、受講者の皆様へ「スタッフ教育のヒント」をお届けいただきました。

 

 

◉SESSION1:地域密着のための体制

少子高齢化社会が叫ばれる中、サロン永続のための経営方針には様々な選択肢があります。「30代〜40代女性をターゲットにする」「若手スタイリストのため20代をターゲットにする」「来店サイクルの短い男性客も取り込み、安定経営を試みる」など、ターゲット戦略を取るサロンは多いのですが、今回のセミナーではその逆の「ターゲットを絞らない(正確には地域の方すべてのためにサロン経営をする)」という経営手法を紹介しました。また、半径500m圏内に15店舗ある差別化が難しいエリアですが、地域住民の年齢別人口比率を鑑みた経営理念や社員構成などを解説しました。

・社訓 信用・信頼の構築
・社是 人と社会に喜ばれる個人・集団であれ
・経営理念 心と心のお付き合い そして心ある人材の育成
・基本理念 公益こそが我が使命

 

◉SESSION2:地域密着のためのサービス構成

「ターゲットを絞らない(正確には地域の方すべてのためにサロン経営をする)」という経営手法を取るには、他と違ったサービスやメニュー構成が必要になります。地域の方の年齢別人口比率を把握し、それに合ったサービスの拡充とメニュー設計、そしてそれに合った人材配置について解説しました。訪問やオンラインで営業できる業種とは違い、美容室は一度出店するとその場から動けません。また、お客様もスタッフそして経営者も歳を重ねて日々状況が変化していきます。このセッションでは、出店エリアの導線で暮らす方々に対して「どう存在するのか?」という、具体的な手法を解説しました。「地域密着」を意識したサービス構成には、社員教育やサービス認知の仕組みなど多くの工夫が施されています。

年代別サービスとメニュー
・赤ちゃんへのサービス
・子育て世代へのサービス
・中高生へのサービス
・「席から動かない」ワンストップサービス
・バリアフリー対応
・リラクゼーションメニュー
・送迎サービス
・出張サービス
などを具体的に解説しました。

 

◉SESSION3:地域密着のための行政連携

従業員の女性比率が高い美容室において、女性の就労環境を整えることは「経営者の責務」となってきています。「産前産後の育休支援」だけでなく「子供の急な体調不良に伴う欠勤対応」や「介護世帯に対する変則的な勤務体制の準備」、そして他従業員からの理解や応援があるかないかで、永年勤続してもらえるかどうかが変わってきます。一方、コロナ禍に入り、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金、各市町村が支援する補助金など、行政による経営支援制度が脚光を浴びています。
今回のセミナーでは、女性の活躍促進に向けたトップの意思表明や採用拡大、職域拡大および人材育成、管理職登用などに取り組む企業に対して、愛知県が支援する「あいち女性輝きカンパニー」という認証制度について解説しました。この認証制度への取り組みは、従業員の働きやすい環境を整えるだけでなく、補助金申請の加点評価にも繋がるので、多くのサロンに取り組んでいただきたい内容になります。

あいち女性輝きカンパニー認証制度
https://aichi.jyokatsu.jp/advance/authentication.html

補足:
愛知県SDGs登録制度

持続可能な社会を目指す企業に対しての登録制度です。自店に合わせた目標を設定することで、愛知県の認証を受けることができ、愛知県ホームページで登録企業として紹介されたり、間伐材を使った木製の登録証が贈呈されたりするので、顧客様や従業員、ひいてはトップの意識変化にも役立ちます。
https://www.pref.aichi.jp/kikaku/aichi-sdgs/tourokuseido/

小規模事業者持続化補助金
持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助します。
https://r3.jizokukahojokin.info/
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_koubo_ver7.pdf

事業再構築補助金
ポストコロナ時代における経済社会の変化に対応するため、思い切った事業再構築(事業領域の拡大)をする企業を支援する補助金です。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf